新事業進出補助金で「みなし同一事業者」とされる典型例10選

【音声版】新事業進出補助金で「みなし同一事業者」とされる典型例10選

新事業進出補助金の申請において、多くの事業者が直面し、かつ最も予期せぬ不採択リスクとなるのが「みなし同一事業者」の規定です。

この規定は、公的資金の公正な分配を目的としており、「実質的に一つの経済主体」とみなされる複数の法人が、別々に申請して補助金を二重・三重に受給することを防ぐために設けられています。

しかし、その判定基準は極めて複雑です。単なる資本関係(持ち株比率)だけでなく、代表者の兼任、本店所在地の一致、さらには「犯罪収益移転防止法」に基づく実質的支配者の特定までが求められます。

「別法人だから大丈夫だろう」という安易な判断は、最悪の場合、グループ全社の不採択や、採択後の交付決定取消、さらには不正受給としての公表リスクを招きかねません。

本記事では、経営者が直感的にリスクを察知できるよう、特に誤解が生じやすい「典型的な10の事例」を基に具体的に解説します。

完全親子会社による「グループ一括」判定

親会社Aが子会社Bの株式を100%保有しているケースです。業種が「不動産業」と「ホテル運営業」で全く事業が異なっていたとしても、資本支配が50%を超えているため、両社は「一つの事業者」とみなされます。一方が既に採択されている場合、もう一方は申請すらできない、あるいは合算して上限額が適用される制限を受けます。

オーナー社長による「兄弟会社」の並行申請

代表取締役X氏が、自身で設立した会社A(持分60%)と会社B(持分70%)を経営しているケースです。たとえ会社間の取引が一切なくても、同一の個人がそれぞれの議決権の50%超を保有しているため、これらは「みなし同一事業者」となります。支援するコンサルタントが最も頻繁に直面する、支援側の確認漏れが発生しやすい事例です。

孫会社まで及ぶ「50%超の連鎖支配」

会社Aが会社Bを60%保有し、その会社Bが会社Cを60%保有している「孫会社」のケースです。この場合、AとCの間に直接の資本関係は薄く見えますが、50%超の支配が連鎖しているため、A・B・Cの3社すべてが「同一事業者」としてカウントされます。複雑なホールディングス構造を持つ企業グループでは、末端の事業会社まで精査が必要です。

夫婦で別会社を経営する「生計同一者」ルール

夫が会社Aを100%保有し、妻が会社Bを100%保有しているケースです。公募要領では「配偶者および生計を同じくする直系血族」は資本判定において同一人物とみなされます。つまり、夫婦で50%ずつ出し合って別々の法人を作ったとしても、判定上は「一人の人間が両社を支配している」とみなされ、同一事業者として扱われます。

個人事業主から法人成りした際の実績承継

過去に個人事業主として同種の補助金を受給した者が、その後法人(会社A)を設立し、その代表に就任して申請するケースです。法人としては初申請であっても、実質的な事業主体が過去の受給者と同一であるため、重複受給制限に抵触します。「箱(法人格)を変えれば二度もらえる」という誤解が、不正受給とみなされる典型的なパターンです。

代表者・事務所の一致

資本関係が50%以下(例:30%ずつ)であっても、代表者が同一で、かつ本店所在地が同じ事務所であるケースです。この場合、資本支配がなくとも「実質的に一体」と判断されます。プロジェクトごとに代表者を同じにして別法人を立てる際に、住所を分散させないとこの罠に陥ります。

投資家が介在する「主要株主・事務所の一致」

特定の有力な投資家(主要株主)が複数の企業に出資し、かつそれらの企業が同じ住所に本社を置いているケースです。代表者が別人であっても、「主要株主かつ住所が同一」という条件に合致するため、別々の事業計画であっても同一事業者と判定され、グループ全体での採択制限を受ける可能性が高まります。

複雑な資本網に隠れた「実質的支配者」の重複

表面上の代表者や株主名簿では50%超の支配が見えないものの、犯収法施行規則に基づく「実質的支配者」を辿ると、最終的に同一の個人に突き当たるケースです。ファンドが背後にいる場合や、信託スキームを利用している場合に起こり得ます。補助金事務局はBOリストの提出を求める権限を持っており、隠蔽して申請することは重大なコンプライアンス違反となります。

申請直前の「議決権比率の意図的な引き下げ」

「みなし同一」を回避するために、申請直前に第三者割当増資や株式譲渡を行い、保有比率を51%から49%へ操作するケースです。公募要領にある通り、補助金受給のみを目的とした資本操作は認められません。事務局は直近数期分の決算書や株主名簿の推移を確認するため、不自然な比率変更は厳しく追及され、不採択の事由となります。

事業期間中のM&Aによる「事後的な同一化」

申請時には別資本であった会社Aと会社Bが、補助事業の実施期間中に合併したり、一方が他方の傘下(50%超)に入ったりするケースです。補助完了までに支配関係が生じると「みなし同一」に該当することになり、一方の交付決定が取り消されたり、補助金の返還を求められたりする経営リスクが生じます。M&Aを検討中の企業は特に注意が必要です。

「みなし同一事業者」の判定基準を読み解くと、多くの経営者が「ここまで厳格に縛られるのか」と肩を落とされるかもしれません。特に、多角化経営や将来の承継を見据えて法人を分けている場合、それぞれの会社で挑戦したい事業があるのは当然の心理です。

しかし、事務局の形式的な「NO」を恐れて申請を諦める必要はありません。重要なのは、「形式的に同じに見えるもの」を、いかに「実態として別物である」と論理的に説明できるかという点にあります。

審査の「網」にかからないための実務的マインドセット
「形式」よりも「実態の独立性」を整える 資本や代表者が共通していても、事業目的、オフィス拠点、従業員、そして何より「資金の流れ」が明確に分かれているのであれば、それは正当な別事業です。グレーゾーンにいる自覚があるからこそ、逆に「なぜ分かれているのか」という経営上の必然性を整理しておくことが、最大の防御になります。

「うっかり一致」を事前に排除する 資本構成を変えるのは大変ですが、「たまたま同じ住所に登記していた」「たまたま同じ電話番号を使っていた」といった、修正可能な「一致」は事前に解消できます。事務局に余計な疑念を抱かせないための「身だしなみ」を整えることが、採択への近道です。

攻めのための「リスクの棚卸し」 「バレたらどうしよう」と不安なまま申請するのではなく、今回紹介した10の事例をチェックリストとして使い、「自社がどこで引っかかる可能性があるか」を事前に把握してください。弱点を知っていれば、申請書類の中で「一見共通しているが、実際はこれだけ独立している」というプラスの補足説明を盛り込む戦略が立てられます。

補助金は、ルールを正しく理解し、その範囲内で最大限に立ち回った者が勝ち取れるリソースです。 「同一とみなされるリスク」を正しくコントロールし、貴社の新しい挑戦を確実なものにしていきましょう。

この記事はAiのサポートを受けながら作成しています。
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【音声版】新事業進出補助金で「みなし同一事業者」とされる典型例10選
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