令和8年度 観光庁「オーバーツーリズム対策事業」 DMOへの提案で予算100億円の補助金を勝ち取る

【音声版】オーバーツーリズム対策事業:DMOへの提案で予算100億円の補助金

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日本の観光業は今、大きな分岐点に立っています。インバウンド需要の劇的な回復は、地域に潤いをもたらす一方で、混雑やマナー違反といった「オーバーツーリズム」という深刻な課題を浮き彫りにしました。

こうした中、観光庁は令和8年度、前年度比約8倍となる100億円超の予算を投じ、「オーバーツーリズム対策に取り組みます。これは、単なる設備投資への支援ではありません。地域が抱える課題をテクノロジーと知恵で解決し、持続可能な「稼げる観光地」へとアップデートするための、国家的な大プロジェクトです。

本記事では、この100億円の予算を確実に勝ち取り、貴社の次の10年を創るための具体的なプランを徹底解説します。

令和8年度の最重要施策「観光地受入環境整備促進事業」とは

令和8年度、観光庁が最優先課題として掲げる「観光地受入環境整備促進事業」について、その全容を解説します。本事業は、単なる資金援助ではなく、日本の観光を「戦略産業」として持続させるための国家的な大プロジェクトです。

事業の目的・背景:なぜ「いま」必要なのか

現在、日本各地でインバウンド需要が急速に回復する一方、一部の地域や時間帯における観光客の過度な集中(混雑)やマナー違反といった、いわゆる「オーバーツーリズム」が深刻な課題となっています。 本事業の目的は、国民の不安を払拭し、地域住民の生活の質を確保しながら、観光を日本の持続的な成長エンジンとして発展させることにあります。局所的・短期的な対応に留まらず、中長期的な視点から「面的・総合的な対策」を一層促進することが急務とされています。

事業内容:支援の対象と範囲

本事業は、以下の2つのアプローチで地域を全面的にバックアップします。

① 補助事業(メイン)

地方公共団体や観光地域づくり法人(DMO)が中心となり、地域一体で行う様々な取組を支援します。これには、後述するDX活用や物理的なインフラ整備、さらには調査・実証に係る取組も含まれます。

② 伴走支援と複数年支援:

対症療法的な支援に終わらせないよう、検討段階から観光庁や地方運輸局が専門的に伴走します。また、大規模な整備が必要な場合は、複数年にわたる継続的な支援も可能となっているのが大きな特徴です。

事業スキーム:資金と情報の流れ

本事業は、民間事業者が直接国に申請するのではなく、地域をとりまとめる団体を介した「間接補助事業」の形態をとります。

  • 実施主体(申請者): 地方公共団体、登録DMO
  • 間接補助対象者: 宿泊・飲食・アクティビティ事業者等の民間事業者

支援の流れ

  • 国(観光庁・事務局) から 地方公共団体やDMO へ補助金を交付。
  • DMO等 が策定した地域計画に基づき、民間事業者等 が具体的事業を実施。
  • DMO等を通じて、民間事業者に補助金が再交付される。

事業イメージ:具体的にどのような姿を目指すのか

本事業が描くのは、テクノロジーとハード整備が融合した「スマートでストレスフリーな観光地」です。

  • 混雑の解消: AIカメラによる混雑可視化や予約システムの導入により、観光客を空いている場所や時間へ分散させる。
  • 滞在の質の向上: 手ぶら観光拠点の整備や、宿泊施設の高付加価値化、多言語対応の徹底。
  • マナーと共生: デジタルサイネージによるマナー啓発や誘導員の配置により、住民生活と観光活動を調和させる。

予算規模:100億円という「本気度」

令和8年度の予算概算要求額は、前年度の約12億円から飛躍的に増額された100億円(10,000百万円)です。この破格の予算規模は、国が「面的・総合的な対策」を加速させるために投じる強力な意志の現れであり、民間事業者にとっては、DMOと連携することで自社の事業を地域課題解決の柱へと昇華させる、かつてないチャンスとなっています。

100億円の予算は「オーバーツーリズム観光地」だけのものか?

ここで多くの経営者が抱く疑問が、「オーバーツーリズムの課題がある地域は限られている。この100億円は京都は富士山のような有名観光地だけに配分されるのではないか?」という点です。
結論から言えば、この予算は「日本全国」にチャンスが開かれています。 その理由は、国が掲げる本事業の真の狙いにあります。
「未然防止」も対象である: すでに混雑している地域だけでなく、今後インバウンドを強化したい地域が先回りして環境を整える「未然防止」も明確に対象となっています。


「分散」こそが最大の目的: 国の狙いは、有名観光地の負荷を減らすために、地方部へ観光客を分散させることです。地方の宿が「高付加価値化」し、受け皿を整えること自体が、国にとっては立派なオーバーツーリズム対策(需要分散)になります。


「提案がある地域」に予算が流れる: 本事業はDMOを介した「地域計画」の公募制です。つまり、有名か無名かに関わらず、「適切な解決策をDMOに提案した民間事業者がいる地域」に予算が配分される仕組みです。


「うちは有名な観光地ではないから」と諦める必要はありません。むしろ、今こそ予算を使って「選ばれる地域」へアップデートする好機なのです。

「DMO」とは何か? 民間事業者との決定的な違い

本補助金を活用する上で、避けて通れないのが「DMO(観光地域づくり法人)」の存在です。民間事業者にとって、DMOは単なる「補助金の窓口」ではなく、プロジェクトを共に進める「運命共同体」となります。

DMOとは地域を動かす「観光地の司令塔」

DMO(Destination Management/Marketing Organization)とは、データに基づき、地域一体となった観光戦略を策定する「観光地のマネジメント組織」です。従来の観光協会が「親睦や宣伝」を主目的としていたのに対し、DMOはより経営的・戦略的な役割を担います。

観光協会との決定的な違いは「自走化」への強い要請

ここで民間事業者が理解しておくべき重要なポイントは、DMOは「自ら収益を上げ、自立して運営すること(自走化)」を国から厳しく求められているという点です。
補助金依存からの脱却: 観光庁の登録要件には、将来的に補助金に頼らずとも活動を継続できる「財務基盤の確立」が盛り込まれています。
ビジネスとしての観光: DMOは、地域全体の観光消費を最大化させるだけでなく、自らも収益事業(旅行商品の販売、データ提供、コンサルティング等)を行い、持続可能な組織を目指しています。

なぜDMOは民間からの「提案」を求めているのか?

DMOが自力で収益を上げ、地域課題(オーバーツーリズム等)を解決するためには、DMO単体では限界があります。そこで民間事業者の出番となります。

  • プロの知見を求めている: DMOは、自走化のための「収益を生む仕組み」や、効率的な「ITインフラ」を構築できるパートナーを探しています。
  • リスクとベネフィットの共有: 民間事業者が「このDXツールを使えば、混雑が解消されるだけでなく、新たな収益機会も創出できる」といった、DMOの自走化に貢献する提案をすれば、彼らにとってこれほど心強いことはありません。

DMOが抱える「切実な悩み」

100億円という巨額の予算執行を期待されている一方で、多くのDMOは以下の課題に直面しています。

  • テクノロジーの知見不足: 「自走化に役立つITツール」の選定眼が不足している。
  • 現場の機動力不足: 戦略はあっても、実務を回す「現場のプロ」がいない。

つまり、DMOは今、「地域全体の公的な課題を解決しつつ、自走化への足掛かりにもなるような、具体的で精度の高い『民間からの答え』」を熱望しているのです。

DMOが「自力で稼がなければならない」というプレッシャーを感じていることを理解しておくと、提案の切り口が変わります。

「この事業をやらせてください」というお願いではなく、「この事業を一緒にやることで、地域の課題が解決し、DMOとしての実績(および収益基盤)も強化されますよ」というギブ(Give)の精神でアプローチすることが、100億円の予算を動かすための最大の秘訣となります。

なぜ民間には「ハードルが高い」のか?間接補助事業の仕組みを解剖

令和8年度の目玉予算100億円が、多くの民間事業者にとって手が出しにくい最大の要因は、本事業が「間接補助事業」という特殊なスキームをとっていることにあります。

間接補助事業の構造:民間が「国」と直接話せない仕組み

一般的な補助金は、事業者が直接国(事務局)へ申請し、交付を受けます。しかし、本事業は以下の3段階の構造になっています。

  • 補助事業者(DMO等): 国から直接補助金を受け、地域全体の事業を取りまとめる「ハブ」の役割を担います。
  • 間接補助事業者(民間事業者等): DMOの計画の一部として採択され、DMOを通じて補助金の交付を受ける「実施主体」です。
  • 再交付: 補助金は一度DMOに入り、そこから民間へ「再交付」されるという、二段階のプロセスを経ます。

「待ち」の姿勢は手遅れ

「DMOが公募を始めたら手を挙げよう」という「待ち」の姿勢は、本事業においては致命的です。

DMOが国に対して行う「全体計画」の申請時点で、どのエリアで、どの事業者が、どのような設備を導入するかが、ある程度具体化されている必要があります。DMOが動き出した後に自社の強みをねじ込もうとしても、全体計画のコンセプトから外れていれば、採択の余地はありません。

事務負担の壁:DMOが「二の足を踏む」理由

民間事業者に予算が降りてこないもう一つの要因は、DMO側の事務負担です。
DMOは自社分だけでなく、傘下の民間事業者の見積書や実績報告をすべて管理し、国へ報告する義務を負います。
また特定の企業を支援することへの公平性の担保や、住民との合意形成など、高度な政治的調整が求められます。
更には民間側の不備で返還義務が生じた際のリスクを恐れ、DMOが「民間連携」そのものを回避してしまうケースも散見されます。

このように、間接補助事業においては、民間側が「補助金をもらう」というスタンスではなく、DMOの負担やリスクを先回りして解消する「提案型」の姿勢を持たない限り、ハードルを超えることはできません。

DMOを動かす提案

100億円の予算にアクセスするための唯一にして最大の鍵は、民間事業者側からDMOへ仕掛ける提案です。DMOの公募を待つのではなく、こちらから事業を創り出す姿勢が求められます。

課題解決のパッケージ化:単なる「設備」を「解決策」へ昇華させる

DMOへの最初のアプローチは、自社が導入したい設備やシステムを「地域の課題解決パッケージ」として提示することから始まります。

  • プレゼンの実施: 自社の高付加価値化改修やDX投資が、単なる自社の利益に留まらず、地域のオーバーツーリズムをどう抑制するかを論理的に説明します。
  • データによる裏付け: 「この予約システムを導入することで、特定時間の混雑を〇%緩和し、地域全体の回遊性を高める」といった、DMOが国に報告しやすい数値目標をセットで提案します。

「お膳立て」の徹底:DMOの事務的負担をゼロに近づける

前章で述べた通り、DMOの最大の懸念は「膨大な事務負担」です。これを解消する圧倒的な「お膳立て」が、採用率を劇的に引き上げます。

  • 計画書のドラフト作成: DMOが国へ提出する事業計画書の「下書き(案)」を、民間側でほぼ完成させた状態で持ち込みます。
  • 見積書・証憑の早期準備: 相見積もりや仕様書など、DMOが最も手間取る書類をあらかじめ完璧に揃えて提示します。
  • 「断れない提案」へ: DMOの担当者に「内容を確認してハンコを押すだけ」と思わせるほどの手厚いサポートこそが、間接補助事業における実務の鉄則です。

地域全体の利益を語る:DMOの「評価指標」に合わせる

DMOの目線に立ち、個別の改修を「地域の公的な利益」に翻訳して語ることが採択への近道です。

  • 混雑緩和への寄与: ホテルの客室単価向上により、宿泊数を増やさずに消費額を上げ、観光客の「量」から「質」への転換に貢献することを強調します。
  • 住民満足度の向上: 「手ぶら観光」の拠点整備により、公共交通機関に大きな荷物を持ち込む観光客を減らし、住民の移動ストレスを軽減する、といった「住民目線」のメリットを語ります。

このように、民間事業者がDMOの「ブレイン(知恵袋)」となり、実務を先導することで、DMOは安心して国へ申請を行うことが可能になります。これこそが、民間主導で巨大予算を勝ち取るための提案の真髄です。

オーバーツーリズム対策で採用されやすい「3つの重点ソリューション」

本補助金の主旨は「地域課題の解決」です。民間事業者の投資計画が、いかに「オーバーツーリズム対策」という公的な目的に合致しているかを証明するための、強力なソリューションと提案主体の例を提示します。

その1:DXによる「混雑の可視化と分散化」

観光客を一箇所に集中させず、時間的・空間的に平準化させるIT投資は、令和8年度予算の最重点項目です。

具体的な内容

AIカメラやセンサーによる混雑解析、予約システムの導入、リアルタイムのデータ配信。

提案する事業者例

  • IT・システム開発会社: 混雑状況可視化プラットフォームの提供。
  • 宿泊事業者: 自館の混雑データを地域に開放する仕組みの導入。
  • アクティビティ事業者: 予約制導入による訪問時間の平準化提案。
  • 交通・レンタカー事業者: 混雑ルートを回避するナビゲーションや予約システムの提供。

その2:高付加価値化による「満足度の向上」

「数」に頼らず「質(単価)」を高めることで、地域への負荷を減らしつつ経済効果を最大化するアプローチです。

具体的な内容

宿泊施設のスイート化改修、手ぶら観光(荷物配送)拠点の整備、高単価ツアーの造成。

提案する事業者例

  • ホテル・旅館: 既存客室の高付加価値化改修(露天風呂付客室への改装等)。
  • 物流・運送業者: 駅や宿泊施設を拠点とした、地域一体の荷物当日配送システムの構築。
  • 旅行会社・ランドオペレーター: 地域資源を活かした富裕層向けプライベートツアーの企画。
  • 建築・内装会社: 地域産材を活用した高付加価値な観光施設の設計・改修提案。

その3:公共空間の「マナー・受入環境整備」

観光客と住民の「共生」を視覚的・機能的に支え、観光地の品格を高める整備です。

具体的な内容

デジタルサイネージによる注意喚起、多言語対応、ユニバーサルデザインの導入。

提案する事業者例

  • 広告・サイン製作会社: 多言語対応デジタルサイネージの設置とマナー啓発コンテンツの制作。
  • 警備・管理運営会社: 混雑時の誘導員配置や、AIを活用した動線管理の提案。
  • 什器・家具メーカー: 公共スペースへのスマートゴミ箱(自動圧縮機能付き)の設置提案。
  • コンサルティング会社: 住民と観光客の合意形成のためのワークショップ運営やマナー指針の策定。

これらのソリューションを提案する際、単一の企業で完結させる必要はありません。例えば、「IT会社」と「ホテル」がタッグを組んで、「データ活用による混雑緩和と高付加価値化を同時に実現するパッケージ」をDMOに提案すれば、その説得力と採択率は飛躍的に高まります。

DMOは「個別の設備」が欲しいのではなく、「地域が抱える問題を解決する仕組み」を求めているからです。

まとめ:地域共創が令和8年度の成長戦略になる

令和8年度の観光庁予算において、100億円超が投じられる「観光地受入環境整備促進事業」は、単なる一時的な設備投資のチャンスではありません。それは、民間事業者が地域の中心的なプレイヤーとして、DMOや自治体と共に「選ばれる観光地」を再定義する「地域共創」の始まりです。


補助金をきっかけとした「強固なネットワーク」の構築

間接補助事業というハードルを越え、DMOに提案を仕掛けるプロセス自体が、貴社に計り知れない資産をもたらします。
地域内での地位確立: 自社の利益を超え、地域のオーバーツーリズムという課題に正面から向き合う姿勢は、行政やDMO、地域住民からの深い信頼へと繋がります。
事業の安定性向上: 地域一体となった全体計画に自社の事業が組み込まれることは、将来的な公共事業や周辺開発における優先的なポジションの確保を意味します。


5年後、10年後の「選ばれる理由」を創る

オーバーツーリズム対策として「混雑の可視化」や「高付加価値化」への投資は、そのまま貴社の競争力となります。
質の高い顧客体験: 整備された受入環境は、観光客のストレスを最小化し、「またこの地域(この宿)に来たい」と思わせるリピートの動機を生みます。
持続可能な収益モデル: 単価向上と平準化が実現した地域では、過度な安売り競争に巻き込まれることなく、安定した経営が可能になります。

未来への「投資計画」を描きましょう

令和8年度の巨大な予算枠は、活用する覚悟のある者だけに開かれています。DMOをリードし、地域全体の価値を底上げする提案を、この瞬間から準備しましょう。

「自社の持つ技術や設備が、地域の課題解決にどう繋がるか分からない」「DMOへの具体的な提案書を作成してほしい」とお考えの経営者様。

マリントピアリゾートグループでは、戦略立案からDMOへの同行、そして国への採択率を高める計画策定まで、専門家として一貫したサポートをいたします。
地域と共に歩み、地域と共に稼ぐ。この挑戦が、御社の次の10年を創る礎となることを確信しています。

 

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