観光庁令和7年度補正予算「観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業」解説

【音声版】観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業解説

この記事の目次

人手不足が深刻な宿泊・観光業界において、令和7年度補正予算案に盛り込まれた「観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業」は、実務的な支援策として注目です。

本事業は、令和6年度補正予算「観光地・観光産業における人材不足対策事業」の承継モデルであり、予算規模は25億円と決して大きくはありませんが、「情報を先取りし、戦略的に動く事業者」にとってはチャンスです。

本記事は、詳細発表前の「観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業」について、現時点で判明している情報と前モデルの傾向を基に、今から準備すべき事を解説します。

「観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業」のポイント解説

補正予算25億円の意味

今回の補正予算額約25億円は、観光庁の予算規模として限定的です。これは、広く浅く配布するものではなく、明確な計画を持つ事業者にピンポイントで支援を行うメッセージです。公募開始から採択までの期間が短くなるので、前倒しで準備を進めることが不可欠です。

前モデル「補助上限1,500万円」の枠組み

本事業は、令和6年度補正予算で実施された「観光地・観光産業における人材不足対策事業」の流れを汲んでいます。前回のスキームを継承する場合、補助上限額は1,500万円、補助率は1/2です。

事業費ベースで3,000万円程度の投資に対し、その半分を国が支援するというこの規模感は、中規模なシステム刷新や設備の導入を検討している宿泊施設にとって、レバレッジ(投資対効果)が効きやすいボリュームゾーンと言えます。

「省力化」へ絞られたターゲット

事業名称に「省力化・省人化」が明記されたことは、投資の目的をよりシャープにすることを求めています。

単なる設備の老朽化更新ではなく、「その投資によって、どれだけの労働時間が削減され、どれだけ生産性が上がるのか」という論理的な裏付けが、採択を左右する重要なポイントとなりそうです。

【新展開】地域一体の共同設備補助

前モデルと比較して、今回公募における変更点は「地域一体となった効率化支援」という項目です。前モデルは施設の改善に主眼が置かれていましたが、今回は観光地全体を一つの「経営体」として捉え、インフラやバックヤードを共有化するという、合理的なアプローチが明記されました。

注目すべきは、支援対象として具体的に挙げられている以下の3つの設備です。

セントラルキッチン(共同調理場)の導入

深刻な調理スタッフ不足に対する抜本的な解決策です。

    • 地域内で調理機能を一箇所に集約(セントラルキッチン化)することで、各施設における仕込み作業を大幅に削減できます。

    • 食材の一括仕入れによるコストダウンや、味の均一化、さらには食品ロスの削減など、多方面での収益性向上が期待されます。

従業員寮の導入・改修

人手不足の解消には「住環境の整備」が不可欠ですが、単独で寮を維持・管理するコストは年々重くなっています。

    • 地域で「共同の従業員寮」を整備・改修することを支援の対象としています。

    • 質の高い居住空間を共同で提供することで、人材確保の競争力を高めると同時に、各施設の固定費(福利厚生費)を変動費化、あるいは最適化することが可能になります。

温泉引湯管の改修等

観光地のインフラ維持という、非常に実務的なコスト削減に踏み込んでいます。

    • メンテナンス負荷の高い引湯管を地域全体で効率化・改修することで、維持管理にかかる人手とコストを削減します。

これらの共同設備への支援は、個別のホテル・旅館が抱えていた「重いバックヤード機能」を地域でシェアすることを意味します。人手を「取り合う」のではなく、設備を「分かち合う」ことで、地域全体の提供価値を底上げすることを本事業は狙っています。

宿泊施設の省力化・省人化補助

前身事業の傾向を踏まえると、単なる設備の更新ではなく、「これまで人手に頼っていた業務を、いかにテクノロジーで代替できるか」という視点が採択の鍵となります。

 

具体的には、以下の3つの領域への投資が考えられそうです。

フロント・ロビー業務の無人化・自動化

人手不足が深刻で、かつ自動化の恩恵を受けやすい領域です。

    • 自動チェックイン機・スマートロックの導入: 記帳や鍵の受け渡しを自動化することで、フロントに張り付くスタッフを最小限に抑えられます。

    • PMS(宿泊管理システム)の刷新: 予約管理から会計までを一気通貫でデジタル化し、二重入力などの事務作業を削減します。

バックヤード・清掃業務の省力化

ゲストの目に見えない部分での効率化は、スタッフの負担軽減に直結します。

    • 清掃ロボットの導入: 通路やロビー、大浴場の清掃を自動化し、限られた客室清掃スタッフを有効活用します。

    • 在庫管理システムのデジタル化: 備品や食材の管理をシステム化し、発注業務のミスと時間を削減します。

接客・情報提供の「セルフ化」と「高付加価値化」

情報の提供をデジタルに任せることで、スタッフは「人間にしかできないサービス」に集中できます。

    • 多言語対応のAIチャットボット: よくある質問(周辺観光、館内案内など)を自動回答させ、電話や対面での対応を削減します。

    • モバイルオーダーシステムの導入: ルームサービスや売店の注文をゲストのスマホから完結させ、注文取りの手間を省きます。

詳細発表前に着手する準備まとめ

25億円という限定的な予算枠を確実に勝ち取るためには、公募開始後に動き出すのでは間に合いません。これまでの傾向から予測される「採択の絶対条件」と「審査の仕組み」を踏まえ、今すぐ着手すべき実務的な準備を整理しました。

「高付加価値経営旅館等」の登録・申請準備

今回の事業では、観光庁の「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン」に基づく登録制度が、採択の強力な優先条件(あるいは必須条件)となる可能性が極めて高いと予測されます。

    • 登録の有無が分かれ目: 「高付加価値経営旅館等登録規程」において、「高付加価値経営旅館等」として登録を受けている、あるいは既に登録申請を済ませていることが優先評価の対象となる見込みです。

    • 注意点: 2種類ある登録区分のうち、上位の「高付加価値経営旅館等」が対象となる点に留意が必要です。未申請の事業者は、補助金の詳細発表を待たず、直ちにガイドラインに沿った経営状況の確認と登録手続きへの着手を推奨します。

「先着順(早い者勝ち)」を意識したスピード準備

前進の「観光地・観光産業における人材不足対策事業」の審査方式を踏襲する場合、本事業は「申請順に順次審査を行い、予算に達し次第終了する」という先着順に近い形式をとることが予想されます。

優れた事業計画であっても、予算が枯渇すれば採択のチャンスは失われます。公募開始初日に申請できるレベルまで、今から計画を練り上げる必要があります。ちなみに「観光地・観光産業における人材不足対策事業」は、令和7年3月24日に受付開始、同年5月23日に受付締切をしています。

地域ネットワークの再点検

今回の目玉「共同設備」を活用する場合、近隣施設やDMO、観光協会との合意形成が不可欠です。

    • 協議の場: セントラルキッチンや共同寮の可能性について、地域のキーマンと意見交換を始めておきましょう。

    • 一体となったビジョン: 単独の利益ではなく、「地域全体でどう取り組むか」というストーリーが採択を大きく引き寄せます。

ベンダーへの相談と見積もり準備

前身事業での補助上限1,500万円(事業費3,000万円)を念頭に、投資の優先順位を決めます。

    • 情報収集: 導入したい機器(自動チェックイン機や清掃ロボット等)の最新スペックと納期を確認してください。

    • 相見積もりの準備: 交付申請時には複数者の見積もりが必要になるケースが多いため、信頼できるベンダーを数社リストアップしておきます

事業の成功を確実なものに

今回の「観光産業省力化・省人化推進事業」は、予算規模が限定的であり、採択には「スピード」と「戦略の具体性」が不可欠です。
当社では、単なる補助金の申請代行にとどまらず、直営事業者の視点から以下のような支援を提供しております。

    • 共同設備の活用戦略: セントラルキッチンや共同寮など、地域一体となった複雑な合意形成や事業計画の策定をサポートします。

    • 投資対効果の最大化: 1,500万円という枠組みの中で、貴社のオペレーションに最もレバレッジが効くIT・設備投資をアドバイスします。

    • 実務フローの再構築: 省力化によって浮いたリソースを、いかに「高付加価値化」と「収益向上」に繋げるか、中期のビジョンを共に描き、伴走します。

お悩みの経営者・担当者様は問い合わせフォームから、ぜひ一度お気軽にご相談ください。最新の公募情報に基づき、貴社の経営課題に最適解をご提案いたします。

【参考】補助対象となりそうな省力化の機器・システム一覧

【参考】「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン」「高付加価値経営旅館等登録制度」解説動画(観光庁)

【音声版】観光地・観光産業における省力化・省人化等推進事業解説

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