【2026年最新】IT導入補助金の変更点は?「デジタル化・AI導入補助金2026」への移行で変わる申請要件

【音声版】AI導入補助金の変更点

この記事の目次

「IT導入補助金」が、2026年度から「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金(以下、「AI導入補助金」)」へと名称を変え、いよいよ新制度がスタートしました。

今回の変更は、単なる名称変更ではありません。交付規程を読むと、これまで以上に「AIの活用」や「マクロ経済に連動した賃上げ」が求められるなど、採択のハードルや運用のルールに重要な変更が加えられています。

「2025年度までのやり方で申請しても大丈夫?」

「AIを導入しないと採択されないの?」

「賃上げ目標の数字が具体的にどう変わったのか知りたい」

本レポートでは、補助金申請を検討する事業者の皆様やIT支援事業者の皆様に向けて、2026年度規程改正のポイントを分かりやすく整理しました。

条文を比較して見えた、申請者が押さえておくべき「3つの大きな変更点」を中心に、取るべき具体的な対策を整理します。

IT導入補助金から「デジタル化・AI導入補助金」へ5つの主要変更点

2025年度版と2026年度版の交付規程を比較した結果、今回の改正で特に注目すべき変更点は、以下の5つのポイントに集約されます。

「AIシフト」の鮮明化

補助金の名称が「IT導入支援」から「デジタル・AI導入支援」へと変わりました。これは単なる名前の変更ではありません。国が支援の重点を、「AIを使いこなす高度なデジタル化」へ明確にシフトさせたことを意味します。

賃上げ目標のルール変更

150万円以上の補助を受ける際の賃上げ要件が、大幅に変わりました。

  • 指標の変化:総額ベースから、従業員数の増減に左右されにくい「一人当たり給与支給総額」へ。
  • 数値の変化:一律1.5%という固定目標から、「日銀の物価目標+1%」という変動目標になりました。より賃上げへの強いコミットメントが求められます。

「補助金リピーター」へのハードルアップ

過去(2022〜2025年度)にIT導入補助金の採択を受けた事業者が再度申請する場合、一般の申請者よりも高い目標(物価目標+1.5%以上)が課されます。「継続して支援を受けるなら、より高い生産性向上と還元を」という姿勢が反映されています。

補助対象者の定義がより明確に

法人申請者の要件に「日本国内での事業」だけでなく、「日本国内に本社を有すること」が明記されました。支援の対象となる事業者のラインが、より厳格に引かれた形です。

「賃上げ未達」による返還規定の厳格化

目標に届かなかった場合の「補助金返還」に関する規定が、独立した条項(第28条)として格上げされました。これは、「賃上げは義務である」という国(補助金事務局)の強い意志の表れです。

 

今回の改正を一言で言えば、「もらえる条件は厳しくなったが、AIなどの次世代投資にはより手厚い支援を行う」という方向性です。特に賃上げ目標については、経営計画そのものを見直すレベルでの対応が必要になるケースもあります。

主要変更点の詳細分析

ここでは補助金申請者が実務上最も注意すべき交付規程の変更点について、新旧の条文を基に解説します。

補助金名称と対象ITツールの変更

補助金の正式名称が、2025年度の「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」から2026年度の「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」へ変更されました。これに連動し、ITツールの定義は以下の通りです。

 ITツールの定義変更 (第2条第5項)

IT導入補助金交付規程

AI導入補助金交付規程

本規程において「ITツール」とは、本事業で導入するソフトウェア・オプション・役務の総称を指す。

本規程において「ITツール」とは、本事業で導入するソフトウェア(AIを含む。以下同じ。)・オプション・役務の総称を指す。

2026年度規程では、ソフトウェアの定義に「(AIを含む。以下同じ。)」という文言が明確に追加されました。

 

影響の考察:

名称変更と定義の明確化は、今後の補助金審査において、AI技術を活用した生産性向上計画がより重視されることを意味します。単なる業務効率化ツールでなく、AIを活用して新たな付加価値を創出するITツールの導入計画が、採択において有利に働く可能性が高いと分析します。

補助対象者の要件変更

補助対象者の要件に関し、法人の事業実施場所に関する規定が厳格化されました。

比較項目

IT導入補助金交付規程 (第9条第1項二号)

AI導入補助金交付規程 (第9条第1項二号)

事業実施場所の要件

日本国内で法人登記され日本国内で事業を営む法人又は個人

日本国内で事業を営み、かつ日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する法人又は日本国内に補助事業の実施場所を有する個人

 

影響の解説:

AI導入補助金交付規程では法人申請者に対し、「日本国内に本社を有する」という要件が追加されました。この変更により、日本国内に支店や事業所を有していても、登記上の本社が海外にある法人は補助対象から明確に除外されます。特に外資系企業の日本法人や子会社は、申請前に自社の登記状況がこの厳格化された要件を満たしているかを必ず確認する必要があります。

賃上げ目標の変更

補助金申請額が150万円以上の場合に課される事業計画要件、特に賃上げ目標に関する変更は、今回の規程改正における最も重要なポイントです。

 一般申請者向け要件の比較

過去の受給者ではない一般申請者に対する賃上げ目標は、指標と目標値の両方が抜本的に変更されました。

比較項目

IT導入補助金交付規程 (第9条第6項)

AI導入補助金交付規程 (第9条第5項)

賃上げ指標

給与支給総額

一人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)

年平均成長率目標

1.5パーセント以上

日本銀行が定める「物価安定の目標」+1パーセント以上

事業場内最低賃金

地域別最低賃金+30円以上

(変更なし)

 

過去受給者向け追加要件

AI導入補助金交付規程では、新たに第9条第6項が追加され、「IT導入補助金2022からIT導入補助金2025までの間に交付決定を受けた事業者」に対し、さらに厳しい賃上げ目標が設定されました。

これらの事業者は、第9条第5項が定める「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする」という要件に加え、以下の追加要件を満たす必要があります。

  • 事業計画期間において、一人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)の年平均成長率を、日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.5パーセント以上向上させること。

 

影響と注意点の考察:

これらの変更は、申請事業者の事業計画策定に極めて大きな影響を与えます。

第一に、指標が「一人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)」に変更されたことで、パートタイマーの増減といった従業員構成の変化に左右されにくくなり、個々の従業員への実質的な還元が直接評価されることになります。

第二に、目標値が「物価安定の目標」という経済指標に連動する変動目標となりました。日本銀行の「物価安定の目標」は現在2%に設定されているため、申請事業者は計画策定にあたり、実質的に一般申請者で3%以上過去受給者で3.5%以上の年平均成長率を達成する計画を立てる必要があります。これは、より高い賃上げ計画が必要であることを意味します。

賃上げ目標未達時の措置の明確化

賃上げ目標が達成できなかった場合の補助金返還に関する規定の記載が変更され、その位置づけが構造的に強化されました。

  • IT導入補助金交付規程: 賃上げ目標を定めた第9条第6項の末尾に、「なお書き」として目標未達時の返還可能性について言及。
  • AI導入補助金交付規程: 補助金の返還について定める第28条第2項として以下の条文が独立して明記。

 

(補助金の返還)

第28条 補助事業者は、前条第1項第一号から第四号及び第八号から第十号の規定に基づく交付決定の取消しを受けた場合において、既に補助金の交付を受け、返還すべき金額があるときは、当該金額を事務局が指定する期限までに、事務局が指定する方法で返還しなければならない。

2.第9条第5項及び第6項の規定を満たさないことを事務局が確認した場合、事務局は補助事業者に対し、原則として、補助金の額の全部又は一部の返還を求めるものとする。 

 

変更の意図と影響の分析:

この構成変更は、単なる条文整理ではありません。

「補助金の返還」という独立した条文に格上げして明記したことは、事務局が賃上げ目標の達成を極めて重視し、その履行を厳格に求めるという意思表示です。

これにより、申請事業者にとって目標未達のリスクとペナルティの重要性が制度上、高まったと言えます。

 

以上が、実務に大きく影響する主要な変更点です。

まとめ 「デジタル・AI導入補助金」に向けてのアクション

今回の規程変更を読み解くと、国が目指す方向性は非常にシンプルです。それは、「AIという最新の武器を使いこなし、上がった利益をしっかり従業員に還元して、会社をより強くしてほしい」というメッセージです。

これを踏まえ、申請を検討している事業者の皆様、そして支援事業者の皆様が取るべき具体的なアクションをまとめます。

申請事業者(中小企業・小規模事業者)へのアドバイス

  • 「生産性向上」から逆算した賃上げ計画: 新しいルールでは、賃上げ目標の指標が「一人当たり」へと厳格化され、未達時の返還規定も強化されました。もはや「とりあえず1.5%」といった安易な計画は通用しません。ITツールを導入することで「どれだけ利益が増え、一人当たりの給与をいくら増やせるのか」。この因果関係を、自社の経営計画の中にロジカルに落とし込むことが、不採択や返還リスクを避ける唯一の道です。
  • 「守りのIT」から「攻めのAI活用」へ: 制度の名称が変わった通り、今後は単なるバックオフィス業務の効率化だけでなく、AIを活用して新しい売上や付加価値を生み出すような投資が強く求められます。「今のビジネスにAIをどう組み込めば、他社に負けない競争力がつくか」。この視点でツールを選定することが、採択率を最大化させる鍵となります。

IT導入支援事業者(ベンダー)へのアドバイス

  • 「自社サービスを売る」から「顧客の経営を守る」支援へ: 顧客に対し、ツールの機能だけでなく、今回の「賃上げ要件の厳格化」や「返還リスク」を正確に伝えることが、これまで以上に重要です。提案するツールが、顧客の「一人当たり給与支給総額」を向上させるためにどう寄与するのか。専門家として、導入後の収益改善までを見据えた深い提案が求められています。
  • 提案ラインナップの「AIシフト」を急ぐ: AIを明記した以上、提案するポートフォリオの刷新は急務です。「そのツールにAI機能はあるか」「生産性を劇的に変える力があるか」。新しい制度の趣旨に真っ向から応えるツール選定と、それを裏付ける定量的な導入効果の説明資料を用意してください。

変化をチャンスに変えるために

「AIへの対応や賃上げ要件の厳格化など、条件が厳しくなった」と感じるかもしれません。しかし見方を変えれば、今回の改正は、本気でデジタル化・AI活用による生産性向上に取り組む宿泊事業者にとっては、より確実に手厚い支援を受けられるチャンスでもあります。

慢性的な人手不足やエネルギーコストの高騰に直面する宿泊業界において、AIを活用した省人化や高付加価値化は、避けては通れない経営課題です。今回の「デジタル・AI導入補助金」は、単なるツールの導入支援ではなく、そうした課題を乗り越えて「物価高に負けない強い収益構造」へと作り変える強力な後押しとなります。

「自社のリノベーション計画や業態転換に、この新しい補助金はどう活かせるのか?」 「AI導入によって、本当に一人当たりの賃上げを実現できる収益性が確保できるのか?」

こうした問いに向き合い、補助金規程の変更をポジティブに捉えて事業計画を練り上げることが重要です。

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