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「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」採択のポイントを徹底分析

観光庁が令和6年補正予算で実施する「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」の公募要領を発表しました。

これは地域においてより効果的に観光消費を拡大し、地域へインバウンドの経済効果を波及させる観点から、自然、文化、食、スポーツ等の地域の観光資源を活用し、より高単価な特別体験商品の造成から販路開拓まで一貫した支援を集中的に実施することで、地方創生の実現を目指すことを目的とした補助金です。

■補助金の概要

補助事業者の要件

地方公共団体、独立行政法人、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者等

補助額

1,000万円まで定額、1,000万円を超える部分については8,000万円まで補助率1/2
最低事業費1,500万円(この場合の自己負担額250万円)

補助対象

① 体験商品造成に係る経費(人件費や旅費、委託費、謝金など)
② 備品の購入、設備の導入に係る経費
③ プロモーションに係る経費

*①の経費が事業費全体の50%以上となること

申請の受付期間

令和7年2月6日~令和7年3月14日

なおこの補助金は、令和6年に実施された「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」の後継モデルと考えられます。
通常、国の補助事業は、完了後に総括を行い、課題を明らかにした上で、次年度の事業に反映させる事が一般的です。
つまり、前事業の「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」からの変更点や、新たに追加された点、より強調されている点に着目すれば、観光庁の参加事業者への問題意識、裏を返すと、ここをクリアすれば採択確率が上がる点が見えてきます。

この記事では、前補助金からの変更点や強調点を整理し、「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」採択のポイントをまとめてみます。
なお話を分かり易くするため、「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」を【前回】、「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」を【今回】と表記します。

■ツアー類型

【前回】
① インバウンド規模3,000名以上の体験コンテンツ・イベント等支援事業
② 高付加価値化支援事業(既存事業の単価の3倍以上)

【今回】
① プレミアム型
② コト消費×モノ消費型
③ 規制改革型

前回の「3,000名以上規模」「単価3倍」といった定量的な目標から、体験商品の特別性をより重視する方向へ変わりました。
高い目標と具体策を計画に落とし込むことは、事業者側も審査する側も実は簡単です。

実際の所、公募要領で公表された「審査の観点」では、「体験商品の特別性・独自性」が、いの一番にあがっています。前回、一番にあがっていたのは「インバウンドの消費拡大効果(人数・消費額)」です。
これだけで、観光庁が本補助金事業について、何を求めているかが明白です。
造成する体験商品の「特別感」や「独自性」が最重要ポイントです。

■販売に係る要件

【前回】
・外国語に対応した自社ホームページを構築し、予約をとること
・外国語に対応したOTAで販売すること
・SNSやGoogleへの掲載を充実させること

【今回】
・体験商品の性質に応じた合理的な販路確保
・DMCやランドオペレーター等の海外旅行会社への販路を有する事業者を実施体制に組み込むこと
・旅行業法に基づき旅行商品を販売できる体制を構築すること

販売に係る要件の違いは一目瞭然。
前回は観光庁も運営事務局も、この分野について素人同然、失敗を重ねて学習したのでしょう。
推察ですが、全く販売実績を挙げられない体験商品が続出したのではないでしょうか?
当たり前ですが、自社HPを外国語にした所で商品が売れる訳ではありません。

今回は「何をするのか」と共に、「誰と組むのか」がより審査で重視されそうです。
こちらも審査の観点の2番目に、「海外販路の妥当性」があがっています。観光庁の問題意識がよく分かります。

■補助対象経費

【前回】
・コンテンツの認知拡大を目的とした広告宣伝費が全体事業費の10%以内

【今回】
・コンテンツの造成にかかる経費が全体事業費の50%以上

この違いも明白です。
しっかり時間と予算をかけて、コンテンツの企画開発を行ってくださいね、という主旨です。
これも推察ですが、事業費がウェブサイトの構築費用やコンテンツの運営費等に偏った結果、内容の乏しい商品が多かったのかもしれません。
補助金で国がインバウンド観光を後押ししているのにかかわらず、中身の薄い、満足度の低い商品が大量生産されていたとすれば本末転倒です。

■提出書類

【前回】
・国・地方公共団体等の同意書(国等が所有管理する施設や公園を活用する場合)

【今回】
・連携先の同意書

前回は、同意書の提出が限定的でありましたが、今回は、全ての連携先との同意書の提出が求められます。これだけを見ても、「誰と組むのか」が重視されている事が分かります。

以上、「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」と前回の「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」を比較、採択に向けて重要なポイントをまとめてみました。
改めてポイントを整理すると、「コンテンツの特別感と独自性」「連携する専門家の顔ぶれ」「コンテンツの企画開発に時間をかける」「海外販路の構築」あたりが重要です。
かなりハードルが上った印象ですが、逆に上記を明確に計画に落とし込める事業者は、採択の確率がかなり高まるのではないでしょうか。

申請の期日が迫ってはいますが、インバウンドツアーに手厚い本補助金、ぜひ活用して高付加価値な商品造成に役立てて頂きたいものです。

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