【宿泊業の採択傾向を徹底分析】第1回「新事業進出補助金」成功の鍵と今後の注目テーマ

「新事業進出補助金 第1回(2025年)の採択結果が発表されました。本記事では採択率や業種別傾向、宿泊・観光分野で注目される次回公募テーマを徹底分析します。

2025年9月に発表された第1回「新事業進出補助金」の結果は、応募総数3,006件のうち、採択は1,118件。採択率は 37.2% と競争率の高い結果となりました。

採択率は37.2%、業種別の採択状況はこちら

応募総数3,006件のうち採択は1,118件。

採択率は 37.2% と狭き門でした。

業種別では「製造業」「小売業」「建設業」が上位を占める一方、宿泊・飲食業は全体の6.9%。

数としては多くありませんが、事業内容を分析すると、観光・宿泊・飲食に関連する新事業が全体の約15%(167件) にのぼり、観光業への新規参入が急増していることが分かりました。

■業種別採択件数

業種採択件数構成比
製造業32028.6%
卸売・小売業16614.8%
建設業15814.1%
宿泊業・飲食業776.9%
情報通信業716.4%
専門サービス業665.9%
サービス業655.8%
生活関連サービス業454.0%
不動産業413.7%
運輸業373.3%
医療福祉312.8%
その他413.6%

宿泊・観光分野の採択傾向

分析の結果、宿泊業関連が 105件、飲食業関連が 62件、合計 167件(全体の14.9%) に上ることが確認できました。

つまり、多くの中小企業が「観光・宿泊・飲食」分野へ新たに進出している状況です。

宿泊業関連105件の内訳

105件の宿泊関連事業をさらに分析すると、その構成比は次の通りです

  • 宿泊業者が自ら取り組む新事業:25件
  • 宿泊業以外の事業者が参入した新事業:80件

という構成でした。

中でも、小売業・建設業・不動産業からの参入が多数を占め、観光需要回復を背景に「既存施設の改修」「不動産の再活用」を組み合わせた事業が目立ちます。

実際、「宿泊施設改修」「リニューアル」「温泉施設改修」などのキーワードを含む事業が 53件(全体の半数) にのぼり、新事業進出補助金の特徴である“設備投資支援型”の色が強く表れた結果となりました。す。

採択された宿泊観光事業の特徴

宿泊・観光関連の事業計画名から、次のような傾向が見えてきます。

1)地域資源 × 体験・滞在型観光

「温泉地」「地域体験」「地方拠点」など、地域文化や自然体験を取り入れた長期滞在型観光が多く見られました。

単なる宿泊提供にとどまらず、「地域と一体化した観光モデル」への進化が進んでいます。

2)観光消費の高度化と地域連携

小売業者を中心に、「お土産開発」「地産品ブランド化」など、地域の観光消費を高付加価値化する取り組みが増加。

観光業と地域商業の連携による経済波及効果を狙う動きが活発です。

3)インバウンド対応の強化

「訪日」「多言語対応」「外国人受入」など、インバウンド観光対応型の新規事業が21件確認されました。

円安を追い風に、地方への訪日需要が再燃しています。

4)建設・不動産業からの観光分野参入

空き家や遊休地をリノベーションし、宿泊・体験施設として再活用する事例が多数です。

とくに不動産業からの参入(14件)は目立ち、「資産活用型の地域観光開発」が潮流となっています。

宿泊業関連の採択事業の全体像(まとめ)

■テーマ:地域資源活用、体験観光、宿泊施設の再生

■方向性: 異業種参入・多業種連携、既存施設活用

■対象市場 :インバウンド観光、地域内観光

■技術トレンド: DX、スマート観光

■政策整合性: 観光立国推進、地方創生、中小企業多角化支援

これらの動きは国の観光政策・中小企業支援策と整合しており、第2回以降でも継続的なテーマになると考えられます。

グランピング・サウナの採択が激減した理由

今回の新事業進出補助金の採択結果を見ると、「インバウンド」「地域体験」などのキーワードが多く見られた一方で、「グランピング」や 「サウナ」 といった、アウトドアレジャー系の事業計画はほとんど採択されていません。

これは、2021~2023年の「事業再構築補助金」とは対照的な結果です。

「新規性」よりも「事業性」「継続性」が重視

事業再構築補助金では、コロナ禍の中で新しい事業への挑戦が重視され、グランピング や サウナ のように分かりやすい業態は高く評価されました。

一方、新事業進出補助金では、より成熟した審査方針が採用されており、「流行型の新業態」よりも、中長期的な収益性・地域経済への波及効果・雇用継続性が評価の中心になっています。

つまり、「話題性」だけでは通りにくく、短期的ブームに偏るテーマは採択率が大きく低下したと考えられます。

市場飽和と難しい差別化

コロナ禍以降、全国でグランピング・サウナ施設が急増しました。

しかし市場として一定の成熟期を迎え、「差別化の難しさ」や「収益性の不安定さ」が課題となっている点も見逃せません。

審査する側からすると、類似事業が多数存在する中で、「一時の流行りでなく、持続可能なビジネスモデル」が明確に説明できない計画は採択が難しくなります。

インバウンド需要との整合性が弱い

今回の採択結果で多かったのは、「インバウンド対応型」の事業です。

宿泊施設や地域体験、物販、交通DXなど、訪日外国人をターゲットにした案件が優勢でした。

一方で、グランピングやサウナは主に国内レジャー需要に依存しており、外国人観光客を対象とした明確な戦略を持つ計画は少数。

その結果、「国のインバウンド戦略」との整合性が低く、政策的評価ポイントを取りづらかったと考えられます。

今回の結果は、「グランピング」や「サウナ」そのものが否定されたわけではありません。ただし、補助金の評価が 流行性から持続性と地域貢献へ移行したことは明確です。

単体事業から、地域と共に成長する観光産業モデルへの転換が、次回以降の採択を左右するカギとなるでしょう。

今後有望と考えられる観光・宿泊分野の新テーマ

今回の採択では少数にとどまったものの、今後注目すべき新たなテーマを4つ挙げます。

サステナブル・ゼロカーボン観光

環境負荷を低減する「グリーン宿泊」が次の重点分野。

観光庁・環境省は「グリーンツーリズム」「サステナブル認証制度」を推進中で、再エネ設備や高効率空調なども補助対象化が見込まれます。



キーワード:ゼロカーボンホテル/オフグリッド宿泊/地域循環共生圏/グリーンツーリズム

ペットツーリズム

ペットの家族化により、ペット同伴旅行市場が拡大。
「ペットと泊まれる宿」「ドッグリゾート」など、差別化しやすくリピート率も高い有望領域です。


キーワード:ペットツーリズム/ペットと泊まれる宿

ウェルネスツーリズム

「癒し」「食と健康」「リトリート」など、健康をテーマにした宿泊体験が注目。
温泉地の再生やメディカルツーリズムなど、地域資源を活かした健康観光は今後の成長分野です。


キーワード:ウェルネス/リトリート/メディカルツーリズム/湯治

デジタル体験型観光・地域メタバース

AR・VR・AI・メタバースを活用した新世代観光体験はまだ数少ないですが、2026年度に「地域観光DX推進交付金」が強化予定。

リアルとデジタルを融合した観光モデルが補助金評価を高める可能性があります。


キーワード:メタバース/AI観光案内/デジタルツイン/仮想体験ツアー

第1回の採択結果から見えてきたのは、「地域資源の再活用」「体験型観光」「宿泊施設の再生」という3つの柱。そして次に来るのは、「環境・健康・デジタル」を融合した観光モデルです。

これらは国の「観光立国推進」「地域創生」政策とも一致しており、第2回以降の公募でも高評価が期待されるテーマです。

補助金活用のご相談は

今回の「新事業進出補助金」では、前回の事業再構築補助金と比べて、「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」の関与が強く求められる仕組みに変わりました。

これまでのように支援機関名を伏せて申請することは実質的に難しくなり、信頼できる認定支援機関と連携して事業計画を策定することが、採択に向けた重要なポイントとなっています。

第1回の採択結果を分析すると、全体の約52.5%が認定支援機関のサポートを受けており、多くを補助金専門のコンサルティング会社や公的支援機関が占めています。

弊社では、観光・宿泊業をはじめとする事業者様の新規参入・事業再構築・高付加価値化プロジェクトに向けて、「新事業進出補助金」を中心とした補助金申請支援サービスを提供しています。

しかし補助金の単なる申請の代行屋ではなく、「宿泊事業の専門チームとタッグを組んで補助金は1つの手段として、開業まで一気通貫で伴走する」ことが私達の強み。

まずはオンラインミーティングでご相談ください。
貴社の構想や計画を伺い、最適な活用プランをご提案いたします。

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